不適切保育は“空気”にもある?非認知能力から考える子どもへの影響
- unokyo本部

- 5月1日
- 読了時間: 6分
保育の中で、子どもが急に静かになったり、不安そうな表情を見せたりすることはありませんか?
それは「関わり方」だけでなく、その場の“空気”が影響しているかもしれません。
本記事では、不適切保育の新しい視点として、「非認知能力」と「保育の空気」に注目し、子どもの心にどのような影響があるのかをわかりやすく解説します。

4月の慌ただしさが少し落ち着き、子どもたちの姿やクラスの流れが見えてくる5月。
「不適切保育」に関する報道を受け、自園の保育を見直している園も多いのではないでしょうか。
多くのガイドラインは「子どもへの直接的な関わり」に焦点を当てています。しかし実際には、子どもに向けられていない関わりも子どもの心に影響を与えています。
■ 子どもは“場の雰囲気(空気)”を感じ取っている
例えば、こんな場面はありませんか?
・先生同士の緊張したやり取り
・強い口調での指示や注意
・誰かが叱責されている空気
・急な変更で慌ただしくなる状況
その瞬間、子どもたちは、急に静かになったり、表情がこわばったり、保育者の顔色をうかがうようになります。
子どもは言葉の意味以上に、声のトーンや表情、その場の雰囲気といった「非言語の情報」を敏感に受け取っているからです。
これは右脳が、表情・声のトーン・場の雰囲気・人の感情といった非言語の情報を一瞬でキャッチできる働きに関係しています。
子どもは状況を言葉で整理することが難しいため、「何が起きているか分からないけれど不安」という形で受け取ることも少なくありません。
■ 「見ている人」のストレス
心理学や脳科学の分野では、他者のストレスや恐怖を見聞きすることで、自分自身もストレス反応を起こすことが知られています。
例えば、
・他人が叱られている場面を見る
・強い口調や怒鳴り声を聞く
といった体験でも、体内ではストレスホルモンが分泌されることが報告されています。
また、「代理トラウマ」や「情動伝染」という概念があり、自分が直接怒られていなくても、周囲の感情や緊張はそのまま伝わることが分かっています。
子どもは特に感受性が高いためその影響をより強く受けやすいと言われています。
■ 家庭でも起きている「空気」の影響
保育現場で、子どもの様子が家庭の影響を受けて変化する姿を見たことはないでしょうか。
・甘えが強く不安定になる
・落ち着きがなくなる
など、
いつもと異なる子どもの様子をお迎えの時に伝えると「実はちょっとパパと喧嘩しちゃって。でも、子どもの前ではしていないのに…」とお話しされることがあります。
これはまさに、子どもが「場の空気」を感じている結果です
■ 「環境としての保育」
保育は、子どもへの直接的な関わりだけでなく、その場に流れている空気も「環境」です。
・安心できる声のトーン
・尊重し合う職員同士の関係
・落ち着いたやり取り
・見通しのある保育の流れ
これらすべてが、子どもの心の育ちに影響します。
不適切保育を考えるとき、直接的な「言葉や態度」に目を向けがちですが、直接向けていない場面にも影響は存在するのです。
■ 非認知能力が今求められる理由
近年、子ども同士の関係においても
・相手の気持ちを想像する力
・自分の感情を調整する力
の重要性が高まっています。
その背景には、いじめやSNS上でのやり取りによるトラブルがあります。
文字だけのやり取りでは感情が伝わりにくく、相手の気持ちを想像する力がより求められます。また、感情のままに言葉を発することで、人間関係の問題につながることもあります。
だからこそ、
・相手の立場に立って考える力
・自分の感情に気づき、整える力
といった非認知能力が、これまで以上に重要視されているのです。
■ 非認知能力は「自分を守る力」にもなる
非認知能力は、よりよい行動のためだけでなく、自分の心を守る力でもあります。
・不安なとき自分を落ち着かせる
・周囲の感情に巻き込まれすぎない
・安心できる人や環境を選ぶ
こうした力は、子どもだけでなく保育者にも必要です。
完璧を目指す必要はありません。
・自分の声のトーンに気づく
・やり取りを少し丁寧にする
・慌ただしいときこそ一呼吸おく
そんな小さな意識が、子どもたちにとっての安心できる環境をつくります。
その環境の土台にあるのは、保育者自身の心の安心。
4月の緊張が少し緩むこの時期だからこそ、先生自身が安心できる環境になっているか、見直してみてはいかがでしょうか。
次に、保育の雰囲気(空気)を振り返るための
「心のチェックリスト」を掲載しています。ぜひご活用ください。

心のチェックリスト
- 今のわたしと、保育の雰囲気(空気)をふりかえってみましょう-
あてはまるものに✔️をつけてみてください
できていない項目があっても大丈夫!気づいたその瞬間から変化は始まっています
わたし自身のこと
□ 自分の声のトーンは落ち着いていると感じられる
□ 今の自分の気持ち(焦り・イライラ・疲れ)に
気づけている
□ 感情が高ぶったとき、一度立ち止まることができている
□ 自分自身が安心して働けていると感じられる
□ 「大丈夫」と思える瞬間が一日の中にある
人との関わりのこと
□ 職員同士のやり取りが、安心感のあるものになっている
□ 忙しいときでも、言葉や態度が強くなっていないか
気づけている
□ 意見の違いや困ったことを話し合える関係性がある
□ ありがとう、助かったなどの感謝の言葉を自然に
伝え合えている
保育の雰囲気のこと
□ 子どもの小さな変化(静かになる・表情など)に
気づけている
□ 落ち着いたやりとりや見通しのある流れを意識できている
□ 「やり方」よりも「安心」を優先できている場面がある
□ 今の保育の雰囲気は、子どもにとって安心できるものだと
感じられる
これからのわたしへ
□ 自分の良さや、頑張っていることに目を向けられている
□ 小さなことでも、できたことを認めてあげられている
□ 完璧じゃなくていいと思えるゆとりがある
□ 自分を大切にする時間を作れている
□ 明日も笑顔で子ども達に会えることを楽しみにしている
いかがでしたでしょうか?
子ども達への対応を日々意識している先生達ですが、自分自身にはどうでしょう?
自分自身を責めたり、ダメ出しをしていませんか?
「出来なかったこと」だけでなく「出来たこと」に目を向けて
今日の自分を優しく抱きしめてあげてください。
「自分自身を褒める・認める」ということが難しい、という方も少なくありません。
・深呼吸してみる
・好きな飲み物をゆっくり飲む
・空を見上げてみる
など、今日からできる小さな一歩をはじめてみましょう
がんばりすぎなくて大丈夫。
あなたらしくいられることが
子どもたちにとっていちばんの安心です
UNOKYO通信5月号より







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