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その時、いつもの避難訓練だけで守れますか?―熊本地震の保育現場から考える「もしも」の備え―

1 日前
読了時間: 7分

地震、台風、豪雨など、いつ起こるかわからない災害。

 

保育園や幼稚園では、子どもたちの命を守るために、日頃から避難訓練が行われています。

しかし、実際に災害が起きたとき、いつもの訓練通りに行動できるとは限りません。

 

「避難先に行けなかったら?」「保護者と連絡が取れなかったら?」「子どもが不安で動けなくなったら?」

 

今回のUNOKYO通信では、熊本地震を経験した保育現場のリアルな声をもとに、日頃の防災を見直すヒントと、災害時にも役立つ「非認知能力」について考えます。


熊本地震の保育現場から届いた、命を守るためのリアルな声

今回、UNOKYOの認定園研修を受講されている熊本の保育現場の先生方から、貴重な体験談をいただきました。その中には、日頃の避難訓練だけでは想像できなかった出来事が数多くありました。

現場の声① 避難訓練の成果

  • 毎月の避難訓練後、職員で話し合う機会を作っていたのでスムーズに避難できた。日頃の訓練は大事だと感じた。

  • 地震とわかって、子ども達を覆うようにして揺れが収まるのを待つ間は何も考えられなかったが、避難訓練をしていたので、勝手に体が動き、子どもたちを抱えて非常口に向かう間に意外と冷静になり、職員で声をかけあって逃げました。


  • 棚の上にモノを置かない。整理整頓など環境整備も被害を少なくすることにつながった

など、日頃の訓練や職員同士の話し合いが、緊急時の行動につながっていたことが伝わってきます。

現場の声② 想定外だったこと

  • 第1避難場所そばの建物の壁にヒビがあり、第2避難場所へはガラスが散らばっていて行けなかった。


  • 訓練の時は、終了後は建物内に戻れるが、戻れなくなる想定をしていなかった。


避難先が使えない。水が出ない。暑さの中で、保護者のお迎えを待たなければならない。マニュアルや訓練だけでは想定できなかったことも起こっていました。

実際の災害では、その場の状況を見て、考え、判断する力が求められます。

日頃の訓練でも、「もしも、この場所が使えなかったら?」という視点を加えてみることが大切です。

 

現場の声③ 地震が収まった後の子どもの心

  • 子ども達が少しの揺れでも、すぐに先生の所に寄っていた。

  • 『じしんです』とじしんごっこをよくするようになった。

  • しばらくは大丈夫だったが、数週間後ストレスから髪の毛を抜く子がいた。


泣く子、黙ってしまう子、いつもと変わらないように見える子。災害への反応は一人ひとり違いますが、災害後の子どもたちの変化に気づき、ケアしていくことの必要性を感じます。 

 

現場の声④ 先生も、不安だった

  • 「自分が守らなければ」とすごくプレッシャーを感じていた。


  • 動けない子どもを近くに寄せようとしたが、自分も歩けない程だったので、子どもを助けてあげられない。どうしよう、と思った、その時の状況が、自分の頭の中で何度もフラッシュバックしてしまいます。

  • 家は大丈夫か。家族は安全か。子どもたちは無事に帰れたか。心配だった。


子どもたちを守る先生にも、大切な家族がいます。先生自身の安全や不安にも目を向け、職員同士で支え合える体制を考えておくことも必要です。

 

訓練の効果を上げる防災とは


今回の熊本地震は夏の暑い時期に発生しました。

電気が止まりエアコンが使えない、水が濁って使えないなど、水分の確保や熱中症対策にも苦労されたそうです。また、園舎の壁のひび割れ、窓のゆがみ、食器の落下など、建物にも被害が出た所もありました。

地震後には、避難バッグや備蓄品の見直し、棚の配置変更、水のストックの増量、避難先の再確認など、さまざまな改善を行ったとのことです。

                

実際に経験したからこそ見えてきた課題。その一つひとつが、これからの防災を考える大切なヒントになります。

体験談をいただいた保育園のように、訓練後の話し合いや見直しなど、日常から「ちょっとした気づき」を伝え合い、話し合うことができる関係づくりこそが、災害の想定外の出来事にも対応できるようになる、何よりの防災なのかもしれません。



 

「もしも」を想像して、みんなで話してみませんか?

実際の災害では、思いがけないことが起こります。

いつもの避難訓練に、少し違った視点を加えてみましょう。

 

こんな「もしも」を考えてみよう

 

【天候・避難場所】

  • 大雨や台風で、いつもの避難場所へ行けなかったら?

  • 真夏の炎天下や真冬の寒さの中、長時間避難することになったら?

  • いつもの避難経路が通れなかったら?


【園内・職員体制】

  • 園長や主任が不在のときに災害が起きたら?

  • 子どもの靴や荷物を取りに戻れなかったら?

  • 避難中にけが人が出たら?


【保護者との連絡】

  • 電話やインターネットが使えなかったら?

  • 保護者がお迎えに来られなかったら?

  • 避難先が変更になったことを、どう伝える?


【災害後の生活】

  • 電気・ガス・水道が止まったら?

  • トイレや給食はどうする?

  • 備蓄品は、今の子どもたちに合っている?

【他の災害】

  • コロナのようなウィルス

  • 太陽フレアの影響

  • AIやサイバー攻撃による社会インフラの完全停止


これからは「自然の脅威から身を守る」だけでなく「見えないネットワークや社会インフラの停止に備える」という視点も重要になるかもしれません。

大切なのは、すぐに正解を出すことではありません。

「こんなことが起きるかもしれない」「そのとき、自分たちには何ができるだろう?」

職員同士で気づきを持ち寄り、話し合うことが、新たな備えにつながります。

 

 

災害時にも役立つ「5つの非認知能力」

災害時には、知識やマニュアルだけでは対応できない場面があります。

予想外の状況でも、落ち着いて考え、行動し、周囲の人と協力する。

そんなときに支えとなるのが、日常の保育の中で育まれる「非認知能力」です。

 

 

1.感情調整力|不安なときに気持ちを整える力

怖い、不安、焦る。

そんな気持ちに気づき、少しずつ自分の気持ちを整えて、次の行動につなげる力です。


日常の保育でできること

  • 「今、どんな気持ち?」と感情を言葉にする

  • 落ち着ける場所をつくる

  • 気持ちを受け止めてもらい、一緒に解決する経験を重ねる


2.柔軟性|予定通りにいかないときに、別の方法を考える力

いつもの方法が使えないとき、状況に合わせて別の選択肢を考える力です。


日常の保育でできること

  • あえて普段と違うルールで遊んでみる

  • 予定が変わったときに、別の楽しみ方を考える

  • 正解は一つではないことを知る


3.問題解決力|今できることを見つける力

困ったときに、必要なことを整理し、優先順位を考えながら行動する力です。


日常の保育でできること

  • すぐに答えを教えず「どうしたらいい?」と問いかける

  • 試行錯誤できる遊びを取り入れる

  • 大人が先回りして手助けしすぎない


4.協働する力|周りの人と助け合い、つながる力

一人では対応できないときに、周囲と伝え合い、助けを求めたり、協力したりする力です。


日常の保育でできること

  • 共通の目的や役割がある遊びを取り入れる

  • 「みんなでやるとできる」という経験を重ねる

  • お互いの工夫や頑張りを認め合う


5.共感力|相手の気持ちに気づき、寄り添う力

相手の気持ちや様子に気づき、安心につながる関わりを考える力です。


日常の保育でできること

  • 子どもの気持ちを言葉にして伝える

  • 友達の気持ちを想像する

  • 絵本やごっこ遊びで、他者の立場を考える


 

「もしも」の力は「いつも」の中で育っている

 

ここまでご紹介した5つの非認知能力は、災害時だけに必要な特別な力ではありません。

普段の遊びや生活の中で、少しずつ育んでいくことができる力です。

例えば、

「どうしたらいいかな?」と一緒に考えること。

「そんな気持ちだったんだね」と受け止めること。

「みんなでやってみよう!」と協力すること。

こうした日常の関わりの一つひとつが、予想外の出来事に向き合う力の土台になります。

そして、それは子どもたちだけではありません。

先生自身が気持ちを整え、柔軟に考え、周囲と協力することも大切です。

 

「もしも」の力は、「いつも」の中で育っている。

 

今回のUNOKYO通信が、園での防災や日頃の保育について、職員同士で話し合うきっかけになれば幸いです。

 





UNOKYO通信について

株式会社UNOKYOでは、「全ての人が自分らしく生きられる社会をつくる」を理念に、右脳教育と非認知能力を大切にした講座・研修・イベントを行っています。

保育・教育現場での学びや気づきを、これからもUNOKYO通信を通してお届けしていきます。

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